看護師は技術屋です!
こんにちは、青海波です!
まぁ、内容が被ってしまっているのですが、テーマは表題の通りです。
私は今は採血中心の仕事をしていますけれど、本当に技術屋ということを切に感じます。
ベテランの先輩とお話をしていたのですが、やっぱり昔は技術中心で、人員もそこそこいたらしく、今ほど人が足りない状態ではなかったようでした。
少なくとも、3交代が当たり前で、リリーフとかはなかったようです。
今は3交代と言えばICUなどの超急性期ですが、2交代の方が時間が長くて疲れてしまうらしく、「昔と随分変わった」と言っていました。
あと、学生の実習で、軟膏一つ塗るのにも指導者の許可が必要というところにとても驚いていました。
私が学生の時は、実習中に患者さんからの要望で軟膏を塗るのも、車いすの介助(移乗ではなく、普通の移動介助。つまり車いすを後ろから押すだけ)でも、いちいち指導者の許可を取らないとダメでしたからね……。
昔も病棟からは指導者が、学校からは教員が付いて学生を指導していたみたいですが、今のようにガチガチではなかったらしく、
「そんな実習で何が学べるの?」
と本気で驚いていましたね……。
確かに、今の看護学校では、アセスメントがきちんと学べることはいいことだと思うのです。
ただ、座学中心で、『傾聴』やら『コミュニケーション』やら重視されて技術を現場で学ぶ、というのは、物凄く非効率的だし、そもそも現場にそんな余裕なんて無いと思うんですよね……。
要領の良い人や、昔からダンスとか運動とか、身体を動かしたり他人の動きを真似たりすることが得意な人であればそれでも覚えていけるのですが、私みたいにそういうことが苦手な人間は、現場でどんどん落ちこぼれていく一方です。
しかも、ペーパーテストは良い結果なので、そういう部分に気付けない。国家試験通って、現場に行ってから気付くんですよ。
いや、実習とか演習でも、「苦手だな~」とは思うのですが、「自分みたいな人も他にもいるだろうし、なんとかなるだろう!」と考えてしまうんですよね……。
「たまたま周りの子が出来るだけ、私が標準なんだから!」みたいな感じで、悪い意味でいいように考えてしまうんです。
ぶっちゃけ、勉強とか、それこそコミュニケーションなんかは、現場行ってからいくらでも出来ますけど、技術を現場で培うのは本当に難しいですよ。
毎日処置の内容なんか変わりますし、覚えたい技術が毎日出来るとは限らない。
覚えきれていない処置は先輩と一緒にやらなければならなくて、その度に、自分と同じように受け持ち患者が居て、多忙な先輩を呼び止めて、お願いして、見て貰わなくてはならない……、これ、本当に苦痛ですよ。
頼むとあからさまに嫌な顔されるし、少し間違えただけで烈火のように怒られてしまう。確かに患者の身体に関わることですから、緊張感持ってやらなければいけないんですけど、「このレベルだと任せておけない」と判断されれば、残りの手技を全て先輩が行ってしまい、結局全然身に付かない……。
自分でシュミレーションをするにも限界がありますよね。そりゃ、シュミレーションでは何もトラブルは起こりませんし、出来たような気になってしまいますから。
しかも、覚えなきゃいけない技術は一つではないし、似たような手順もたくさんあるし、単科の病棟ならまだしも、複数の科を看ている病棟であれば、その分全然共通点の無い(ように思えてしまう)技術も一度にたくさん覚えていかなければならないんです。
いやぁ、本当に地獄ですよね。
「コミュニケーション」、「傾聴」が大切だと教えられてきて、その手の試験もクリアしてきて、いざ現場に入ったら、実は『技術力』を求められることが八割以上っていう、学校で習ったことと職場で求められているモノが完全に乖離している状態って……。
もうね、現場が欲しい人材を看護学校側が供給出来ていないんですよね、これ。
まだ学校附属の病院であれば理解はあるでしょうが、そうでないと理解もへったくれもなく、ただ「使えない新人」と扱われてしまいます。
それに、学校附属であっても、結局「要領の良い新人」「出来る新人」はいますから、「同じ学年の〇〇は出来るのに、□□は全然出来ない……」なんてことが起こるんですよね……。
看護学生の実習で色々なことに規制がかかったのは、患者の安全を守るためであり、患者の権利が尊重出来るように色々考えられた結果だとは思うのですが、結局、それが看護師の質を下げることに繋がり、離職率も下がらず、人手不足が蔓延し続け、患者も満足な医療が受けられない……みたいな悪循環に陥っているのは、物凄い皮肉ですよねぇ……。
なので、私みたいに、技術が苦手で日々の業務も精一杯!みたいな看護師は、本当に採血や点滴、介助技術、という最低限の技術だけを覚えて、後はその技術だけ行っていれば大丈夫な現場に行く、みたいな感じで、一点集中型になるしか生存する手立てがないように思います……。
『石の上にも三年』と言ったって、その過程で病んで精神崩壊なんてしてしまったら、本当、そっちの方が大変ですからね……。